汗まみれ‘04

小越勇輝さんにたどり着いたオタクのブログ

「りんご」(11/28 倉敷市民会館)

ネタバレしてます。まだ観てない人は見ないで下さいねーあらすじとかシーンの様子とか、結構詳しく書いてしまっているので。
関係ないけど、隣の席の人が、長野くんが登場する度に、乙女ポーズ(顔の下で指組むの)になっちゃってましたw気持ちは分かるよ、大好きなんだね!あとね、なんか紫っぽい格好の人が多かったのは、気のせいでしょうかね。
パンフレットは長野くんの写り、めちゃくちゃいいです。木村秋則さんとこに行って耕うん機使ってる写真とかいいですよ。りんごかりんとうもすごく美味しかったです。かりんとうなのに、どこかふんわりしてるの。


では「続きを読む」からどうぞ。
最初、幼馴染とアキノリの兄ちゃんが状況説明。アキノリは東京近辺で会社員として働いていたが、家を継ぐために帰って来ることになった、しかし兄貴が自衛隊の訓練が厳しすぎて辞めることになったんで、家を継がなくても良くなったけど、婿にならんかっていう話があるらしい。
アキノリ、まさかの中型バイクで登場www唐突すぎて笑えたけど、普通にかっこいいし長野くんだしでテンションが上がるw
アキノリは見合いは気が進まないらしい。家を継ぐのもだけど。農家ををやること自体も嫌で、ミチコのお父さんとの話でもそう言ってた。農家が汚いとかキツイとかで嫌って訳じゃなくて、言葉にできないんだけど、農家はしたくない…って辺りで私は既に泣いていましたwでも着物姿のミチコちゃんに一目ぼれして、あっさり婿になる決意をするw私の涙を返せww
最初は農薬にまけて肌がただれる嫁のために、アキノリは減農薬でのリンゴの栽培をはじめました。
確かにリンゴの収穫量は減ったけど、農薬を使わない分コストは下がり、利益が十分に出ていました。娘も授かり、順風満帆な木村家。
しかしアキノリは無農薬でリンゴ栽培を行うことを決意します。それは無茶だと止める兄。リンゴで無農薬栽培をやりとげた人は今まで居ないのです。アキノリは「他の野菜は無農薬で栽培できるのだから、リンゴでできない訳がない」。
それから数年。
木村家のリンゴは、無農薬栽培を始めてから全くできなくなりました。朝から晩まで家族総出で害虫を取っても、いろんな自然農法を試してみても、花さえつかず木も痩せ細ってしまいました。当然収入もゼロ。害虫が周りの畑に行くせいもあり、村八分状態になり、組合長をしている兄に「頼むから農薬を使ってくれ。皆からの嘆願書だもある」と言われてもアキノリはガンとして農薬を使おうとはしません。アキノリの強い意志もすごいけど、もっとすごいのは木村家の人々。全員精神的にも肉体的にも追い詰められているのに、誰もアキノリを責めないのです。農薬を使ってしまえば、貧乏からも、村の人からの冷たい視線からも、開放されると分かっているのに。それどころか、お父さんは「(婿ではなく)アキノリはうちの息子です」と庇うんだ。お父さんはお父さんで、本当の畑を作りたいという気持ちがあって、戦時中に自分のやってしまった行いを償いたかったという伏線もあったんだけど。
農家が何年も収入ゼロ、いうのはどれだけ大変なことかと想像しただけで恐ろしいこと。「研究のために300円の本を買うお金はあるのね」と兄嫁が言っている意味。娘に満足な栄養を摂らせてないから風邪を引いたんじゃないかとか、兄夫婦の娘も風邪をひくと聞いて安心しているシーンとかさ…。
それを生活の足しにとお金を渡した、アキノリのお母さんの気持ちを考えるとね…アキノリからすると、受け取れるわけがないお金だと思うのですが、それだけ生活が成り立たないのでしょう。「もらっておこう」って言って、ミチコが義母(お金)に、震えながら頭を下げているシーンなど、ボロ泣きでした。
それと娘の文集ね。「まだ一回も自分の家のリンゴを見たことがないけど、それはきっとおいしいと思います」って、いい文だね、アキノリが褒めるんだよね。だって木村家のリンゴの木は、今のままじゃ実をつけるどころか花も咲かないんだもの。
次の年の夏。
夜にアキノリが出掛けていくことを母親が「浮気をしているんじゃないか」とミチコに言うのですが、「浮気のほうがいい。花も咲かないやせ細ったリンゴの木を何時間も見ているよりは。それに弘前にアルバイトをしに行っているんだと思う」
夏に出稼ぎに行く農家なんていない、みっともない、情けないと嘆く母親。
ミチコも「私だって、100円や10円のことばかり考えるために生まれてきたんじゃないって思う、もう何もかも嫌。子供の時、リンゴ収穫の手伝いをしていて、私は一生こういう生活するんだなって思った。王子様は迎えにきてはくれない。私の存在って、この家が続くための道具でしかないの?」とぶちまける。母親「男の子を産んでたら、こんなことになってなかったね。」ミチコ「そんな不可能なこと言ったって仕方ない!」母「不可能なことでもなんでも、お前が言ったこと全部やめたらいいよ、言ってみなさい」って抱きしめるシーンも泣いた。
その後アキノリが帰ってくるんだけど、ミチコは「無農薬栽培を始めたのは、私が農薬にかぶれるからだったんだよね。夜、私がかぶれてないか見てくれてた。農薬使わなくなってからも、隣の畑の農薬が飛んできてかぶれてるんじゃないかって見てくれてた。私はそれがあったからどんなことでも我慢できてた。別に私のために農薬使わないからとかそういうことじゃなくて、見てくれているのが嬉しかった。でも、いつからかそれがなくなった」
花が咲かなかったら、もう来年まで待たなきゃならない、早く時間が経てばいいのに、というミチコにお父さんが「早く時間は経たないけど、遅くなることもないよ」って言ってるのとか…そうだよなと思いました。
アキノリも追い詰められてしまっていました。「ミチコ」を「リンゴ」と聞き間違え、リンゴがどうしたって!花が咲いたのか!?って言って半狂乱で観察ノートに向かう姿とか。
ただの意地になってしまっているんじゃないか、と家族にこんなに迷惑をかけて…しかし農薬を使うことだけは死んでもしたくなかった。こんなにリンゴのことを考えているのに、毎日記録を取って研究しているのに、まったく言うことを聞いてくれないリンゴに対しての想いが強すぎて、アキノリは自分を失いました。リンゴの木にロープをかけて、自らの命を絶とうとしたその時、その木がリンゴじゃなくてしいの木って分かって、土が違うことに気付き…
それから土の研究が始まる訳です。
翌年、リンゴは2つの小さな実をつけました。
ひとつは神様に。ひとつは家族5人で分け合って食べました。
やっとスタート地点に立ったのです。


…簡単にざっくりとあらすじは書こうと思ってたんだけどなw


もうひとりの主役であるリンゴの木が、1回も出てこなかったのは、意図していたのかな。暗転の時にスクリ−ンのりんごの絵に少しずつ色が塗られていって、それが娘の描いたものって演出もね良くてね。
青森弁がすごくすごくかわいかったです。
ベースはシリアスなんだけど、コミカルな部分も多くあって、笑ったところもたくさんありました。まぁ私はほぼ泣いてたんだがなw


長野くん、めちゃめちゃかわいかったですよー!ステージ前方の自分の席近くに来たときとか、「ち、近いっ!近すぎるって!」とテンパった。顎とか頬が心なしか青かったのもまた素敵w農家…にしてはさすがにこぎれいでしたが、ステージ衣装としては確かに地味ではある。冬の衣装(確かジャンパーとかマフラー+出稼ぎ帰りだったので旅行カバン持ってた)がすっげーかわいくて、ずっと物語を真剣に追っていたのに、ここの時だけは「長野くんきゃわわ!!」と萌えてしまったwあととっくりセーターも良かった。
話し方がねー、青森弁なので、いつもよりさらにかわいかった。あんなねぇ、キラッキラした目でこれからも頑張るね!って言われたらうん!っていうしかねぇよwと思ってたら、パンフレットのサトエリのインタビューでそのままそう書いてあって、ひっくり返りましたwwwですよねー。
時々、トニコン寸劇の演技と被るところがあって、吹き出しそうにもなったけどねwあれさぁ…まぁくんのミュージカルの時も思ったけどさ、別に笑わそうとしてああいう演技やってんじゃないんだねwそれ言ったらイノッチもだろうけど。
サトエリは非常にキレイでしたが、その部分は浮いてなかった。まぁでもお見合いでアキノリが一目ぼれするのも無理ないと思うw
夏パジャマで丸まってる時とか、細いのにお尻がプリプリしてて、ムラッときましたw
あと知ってる俳優さんは格さんしてた人だけだったんだけど、格さんの男前が尋常じゃなかったです。顔もすごいちっちゃくて、背も高くて、スタイルもグンバツなんだよ。
他の俳優さんの事もすごく好きになりましたね。電器屋のあんちゃんが「どぉもぉ」って家に入ってくるだけで、笑えた。あの人要チェック。冬の季節時の、サルコスプレみたいなのとかw何なんあれwww
娘のクミちゃんは2幕からの出番ですが、この子のまっすぐで明るいかわいさがまた良いんですよね。ほんわかする。お父さん(長野くん)と嬉しそうに目を合わせて笑ってるのシーンがジンときた。


アキノリの純粋が故の狂気は、正直怖いものがあったけど、美しくもありました。ワンカップで苗の生育の仕方について居間で研究してるんだけど、悦に入って這いつくばっていとおしそうに見ている姿とかね。見た目がほわっとしてるから余計。
いい意味で思っていたのと違った、素晴らしい舞台でした。心からスタンディングオベーションしましたよ。ありがとう長野くん。